様々な事情で高校をドロップアウトした球児たちに「再び野球と勉強の場を」と山田豪理事長がNPOルーキーズを創設したのは、二年前。いま愛知県常滑市のグラウンドには白球を追う若者の声が響いている。でも、何かがおかしい。「大人も泥まみれになって子供と一緒に這いあがる。それがルーキーズの理念、魂」熱っぽく語る理事長の自宅は、真っ暗。電気・ガス・水道が止まっていた。ルーキーズは資金繰りに窮していた。それでも、理事長は諦めない。寄付集めに奔走し、消費者金融に駆け込み、取材クルーにまで借金を願い出る。挙句、カメラの前でヤミ金の借入申込にペンを走らせた。
ところで、本作が名古屋で放送されると、東海テレビに視聴者から多くの声が寄せられた。理事長への激励とあまりの無策ぶりへの侮蔑。真逆の反応の数々。そして、もっとも激しかったのはチームを率いる池村英樹監督が選手にビンタ9連発をする場面を映したことへの反発だった。「不愉快だ」「なぜ暴力を止めない」。「放送基準に触れる」「第三者に訴えられるリスクがある」。そんな訳で、フジテレビも本作の放送を謝絶した。たしかに本作は「問題作」かもしれない。しかし、今の社会を映し出している。だからホントは何が問題なのか、全国の映画館でいっしょに考えてみたい。 少しばかり大らかに。